森林浴―或る弟の手記―
だから、香保里を殺した。
あの女がいる限り、平穏には生きれない。
宗一郎は目をぎらつかせて言いました。
その通りです。
私は宗一郎を抱きしめて褒めました。
そして、よくやった、と頭を撫でました。
宗一郎が大学受験に成功した時より褒めたでしょう。
香保里は、自分の行いのせいで誕生した命に、自分の命を奪われたのです。
自業自得。
因果応報。
そういった言葉が頭の中に浮かびました。
その後、宗一郎を殺人犯にしてはいけない、という考えが頭を過ったのです。