森林浴―或る弟の手記―





そんな佐保里姉さんも狂者だったのかもしれません。


自分の孫に人殺しなどさせたのですから。


私たち姉弟は、香保里も含め、皆狂者なのでしょうか。


それとも、皆、これで普通なのでしょうか。


私には分かりません。


答えが出ることもないでしょう。


結局会社は正世の夫に任せました。


私は今、隠居の身です。


正世の孫を眺めながら、森林浴に身を委ねています。


傍らには微笑む幸乃。


何て幸せなのでしょう。


ですが、後一つだけあります。


どうして私がこんなことを貴方に書き記しているのか、もうお分かりになりましたか?




< 198 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop