森林浴―或る弟の手記―
そんな佐保里姉さんも狂者だったのかもしれません。
自分の孫に人殺しなどさせたのですから。
私たち姉弟は、香保里も含め、皆狂者なのでしょうか。
それとも、皆、これで普通なのでしょうか。
私には分かりません。
答えが出ることもないでしょう。
結局会社は正世の夫に任せました。
私は今、隠居の身です。
正世の孫を眺めながら、森林浴に身を委ねています。
傍らには微笑む幸乃。
何て幸せなのでしょう。
ですが、後一つだけあります。
どうして私がこんなことを貴方に書き記しているのか、もうお分かりになりましたか?