森林浴―或る弟の手記―
「私は穢れた身体でございます」
森の中で佐保里姉さんの声を聞いたのは、婚礼が迫ったある日のことでした。
このところ、佐保里姉さんはよく森に出ていました。
まるで、この森との別れを惜しんでいるようだと思いました。
毎日のように森に出向き、木々を眺めては陽の光を浴びる。
その佐保里姉さんの姿はやはり美しいままでした。
そして、何やらいつも呟いていたのです。
ですが、その言葉は私には聞き取れませんでしたが、やはり結婚が嫌なのであろうと勝手に思ってはいました。