森林浴―或る弟の手記―
戦況は悪化のする一方で、次第に空襲もちかくなってきました。
父は私を更に田舎へと疎開させました。
度重なる空襲の報せ。
それでも必ずや、大日本帝国が勝つ。
そう信じていたものは少なくありません。
私も疎開先でそう信じていました。
疎開先は着るものも食べるものも満足になく、白米が懐かしく感じていました。
いくら落ちぶれた華族とはいえ、やはり貧乏ではなかったのです。
それを疎開先で、実感させられました。
ですが私は順応性が高かったらしく、直ぐに周りの子供と仲良くもなりましたし、少ない食事に文句も出ませんでした。