森林浴―或る弟の手記―




両親はきっと、香保里姉さんからだ、と喜んでいましたが、私はそうは思えませんでした。


連絡も寄越さない人が金を送ってくるなどと思えなかったのです。


ですが、僅かな金も我が家には大助かりでした。


使用人が一人もいない屋敷。


戦前の生活など、すっかり忘れる程の暮らしだったのですから。


そうして、年月が経ち、私は十七歳になりました。


何とか学校にも通い、勉学に励んでいた頃です。



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