森林浴―或る弟の手記―
父の葬儀と母の入院費用とで、我が家の金はついに底を尽きました。
金はないとは知っていましたが、まさかここまでだとは思わず、驚いた程です。
私は必死になって職を探しましたし、売れるものは全て質に入れました。
それでも、食べていくだけでやっとでしたし、入院費用もままならなくなりそうでした。
そこで私は如何に自分が恵まれていたか知ったのです。
ろくな職もなく、日々少ない賃金を貰い、安い食料を買う。
唯一残った家さえも、手離そうとしていた時です。
私はある人と再会を果たしました。