森林浴―或る弟の手記―
嘉一さんの家は、然程大きくはないと言っていたわりに、なかなかの家でした。
そこには嘉一さんの奥様と、お姉さんが住んでいました。
嘉一さんの両親は戦争で亡くなったらしく、おりませんでした。
お姉さんの嘉子さんは、以前田町の遊郭に売られたという話がありましたが、そのせいで身体を壊したらしく、一日の殆どを布団で過ごしておりました。
ですが、優しい性格の嘉子さんは、いつも私を気遣ってくれていました。
奥様も同様に素敵な方でした。
私はそこで造園業を学んでいったのです。