森林浴―或る弟の手記―
店の者に言われた金額を払った一週間後、私は金額を吹っ掛けられたことに気付きました。
佐保里姉さんは妊娠していたのです。
客の子供であることは間違いなく、ですが誰の子供かは分かりませんでした。
私は余計に金を払ってしまったことを嘉一さんに詫びました。
ですが、嘉一さんは笑顔でそれを許してくれました。
佐保里姉さんが自由になれるなら、安いものだとまで言って下さったのです。
私たちは安いアパートを借りて、二人で暮らし始めました。
幸乃も、憧れだった佐保里姉さんに直ぐに馴染みました。
佐保里姉さんは子供は産む、と言っていました。
そして、早苗の代わりに大切に育てる、と。
相手が誰であろうと、自分の子供だから、と。
私と幸乃はそれを応援することにしました。
そして私は、佐保里姉さんの子供が生まれたら結婚しよう、と幸乃に告げたのです。
幸乃は顔を真っ赤にして、小さく頷いてくれました。