森林浴―或る弟の手記―




ですが、奥様との縁談を断れなかったり、佐保里姉さんの消息が分からなかったり、となり、半ば諦めていた。


嘉一さんは語り続けました。


その声はあまりに切実で、嘉一さんがどれ程佐保里姉さんだけを愛しているかが分かるものでした。


聞いているこちらが胸を締め付けられるような声です。


そんな中、偶然の悪戯のように佐保里姉さんと再会した嘉一さん。


一度諦めた心に、その再会は酷く響いたのでしょう。


それはもう、運命としか思えなかったのでしょう。


佐保里姉さんもまた、同じ気持ちのようでした。



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