森林浴―或る弟の手記―
佐保里姉さんは泣きながら、ありがとうございます、と繰り返しました。
愛する人と一緒になれるのは、これ以上ない喜びだったのでしょう。
私も、扉の外で涙を浮かべました。
そして、二人の為に貯えを少しでも渡そう、と決めました。
いつしかの二人の夢が、ようやく叶うのです。
二人は何年もこの日を待ちわびたでしょう。
そう思うと、涙を溢さずにはいられませんでした。
ですが、佐保里姉さんの幸せと残酷な出来事はいつも一緒だったのです。