森林浴―或る弟の手記―
気が付けば、紫野造園は栗原造園より大きなものになり、修介は十歳、正世は五歳になっていました。
その頃はようやく仕事も落ち着き、家族との時間を取れるようにもなっていました。
佐保里姉さんは三十をとうに過ぎても相変わらず美しいままでした。
むしろ、年を重ね、更に美しくなっているようにも見えました。
修介は色素の薄い茶色の髪と白い肌をした美少年に成長していました。
学校に行き始めたら、間の子ということで苛められやしないか心配したのですが、その時代、間の子も片親も大して珍しくなく、要らぬ心配に済みました。
何より修介は利発な子で、周りから慕われていました。
家にはよく友達を連れてきていた程です。