森林浴―或る弟の手記―
私はそんな修介を見ながら、人を惹き付ける才と美貌は佐保里姉さん譲りだな、と思っていました。
佐保里姉さんは昔の奇行などすっかり忘れてしまう程に穏やかな女性になっていたのです。
その姿は、幼い頃に見ていた香保里姉さんを思い出すようでした。
香保里姉さんが何処でどうしているのかは知りませんでしたし、興味もありませんでした。
ずっと連絡を取っていない姉など、記憶の中にはいないも同然でしたから。
佐保里姉さんは私が雇った使用人とも打ち解け、いつも楽しそうに話していました。
私はその姿を見て、安心しました。
ようやく佐保里姉さんに穏やかな日常が訪れた、と。