森林浴―或る弟の手記―
佐保里姉さんは修介を溺愛していました。
今までになくした、二人の子供の分も愛しているかのようでしたし、実際そうだったのでしょう。
そして、私の娘の正世のことも、同じように可愛がってくれていました。
修介も佐保里姉さんを敬愛していたし、正世もなついていました。
それは、私や幸乃にとって微笑ましい光景でした。
そんなある日、佐保里姉さんが働きに出たい、と申し出てきたのです。
何でも、修介の友人の母にスナックを手伝って欲しいと言われたそうでした。
修介もまだ十歳。
それに水商売。
私は少し渋りました。
我が家は裕福で、佐保里姉さんが働きに出なくてはならない理由は何一つないのです。
ですが、佐保里姉さんは働きに出たそうでした。