森林浴―或る弟の手記―
いつまでも私に頼っているのではなく、自分でも稼ぎたい。
佐保里姉さんにそう言われてしまっては、私は返す言葉がありませんでした。
私と幸乃は話し合った結果、佐保里姉さんの意思を尊重することに決めました。
今まで何もかも運命に流され、不幸な人生を歩んできた佐保里姉さん。
私は数度、その手引きをしたようにさえ思うこともあったのです。
昔、佐保里姉さんと嘉一さんを再会させたのは、誰でもな私なのです。
私が遊郭から佐保里姉さんを連れ出したりしなければ、あんな惨劇は起きなかったのかもしれないのです。
私は今もこのことを悔やんでいます。
あとは、修介の出産を応援してしまったこと。
修介を堕胎させるべきだったと悔やむのはもっと後のことですが。
なので私は、佐保里姉さんが働きに出るのを許しました。
すると、佐保里姉さんは子供のように喜びました。
その姿に、私は微笑ましくなりました。