最期は君を奏で
「そうです
ルイさん、あなたの弟は神々と妖精、そして巨人のの住む世界
9つの世界の最下層、ヘルヘイム、別名死の国にいるのです」
コウは異世界の、しかも死の国にいる
コウはずいぶんと遠くへ行ってしまったものだ
それに、こんな常識はずれな事実を受け入れようとしている私もいろんな意味で周囲の人と遠く離れた場所まで来てしまったみたいだ
「ヘルヘイムは死の国
死者が溢れている
この世界でいう地獄とか天国とかいう場所ですね
だから、彼は死んだも同然なんですよ」
サトルは淡々と語った
「ちょ、ちょっと待って
コウは生きてるんじゃないんですか?
死んだも同然って……」
私は焦って言った
「彼は本当に生きてます
ただヘルヘイムにいるだけであって、死んだわけではありません
彼は覚醒したんですよ
その覚醒がなければ、ヘルヘイムで命を留めておくことはできない」