(仮)紅き夢の現実
体を起こし立ち上がると、先程まで感じていた金属の重みがないと知る。
当たり前だ。私は今、鎧など身に付けていないのだから。
私はその事に安堵しているのか、それとも不安になるのか、もう分からなかった。物心つく前から何度も同じ夢を見ていたから。
私は小さい頃、夢から目覚めてはすぐに叫び声をあげていたそうだ。よく、覚えてはいない。
しかし、父も母も覚えていた。私が叫び怯えながら呟く言葉、
「ここはどこ! 私の剣、私の民、私の……?」
いつも決まって最後の言葉が出ないまま、そこで父と母に気がつき、泣きじゃくりながら二人に抱きついていたのだそうだ。
今はもう子供じゃない。
私は22歳になった。
今でも夢は見るけれど、あれは現実ではないことを知ったし、叫び出すこともない。
ただ、どうしても気になることがある。
夢の中で私が横を見た時に『いる筈の人』。
夢のことなのに、いつもその人がいないとすぐに目をさます。まるでその事を知りたくないかのように。
「私の剣、私の民、私の……」
この先が何も出てこない。
当たり前だ。私は今、鎧など身に付けていないのだから。
私はその事に安堵しているのか、それとも不安になるのか、もう分からなかった。物心つく前から何度も同じ夢を見ていたから。
私は小さい頃、夢から目覚めてはすぐに叫び声をあげていたそうだ。よく、覚えてはいない。
しかし、父も母も覚えていた。私が叫び怯えながら呟く言葉、
「ここはどこ! 私の剣、私の民、私の……?」
いつも決まって最後の言葉が出ないまま、そこで父と母に気がつき、泣きじゃくりながら二人に抱きついていたのだそうだ。
今はもう子供じゃない。
私は22歳になった。
今でも夢は見るけれど、あれは現実ではないことを知ったし、叫び出すこともない。
ただ、どうしても気になることがある。
夢の中で私が横を見た時に『いる筈の人』。
夢のことなのに、いつもその人がいないとすぐに目をさます。まるでその事を知りたくないかのように。
「私の剣、私の民、私の……」
この先が何も出てこない。