ちょこれーと。
01#想い
始まり
いつも目で追ってしまう。
特に体育の授業は。
晴れ渡る青空の下で、
男子生徒と一緒になって
サッカーボールを追いかける姿は
少年そのものだった。
「千架、また見てるの?」
すぐ横から聞こえた声に少し驚いた。
「み、見てなんかないよっ!」
そう、と言って悪戯っぽく笑うのは
私の親友の北川美鈴【キタガワミスズ】。
美鈴は凄く大人っぽくて、
幼児みたいな私とは正反対。
「柏木ーっ!北川ーっ!
観戦じゃなくて、ちゃんとしろ!」
ピーッと笛を吹きながら
私たちの方へ来るのは、
担任の先生でもあり、
私の好きな人でもある黒澤先生。
その姿に不覚にもときめいた。
「か、観戦なんてしてませんっ!
ちゃんとしてました、よ....」
先生を前にすると、
自然と顔が熱くなるのが解かる。
「ん?聞こえねーぞ?」
身長の低い私に合わせるように
腰を屈めて笑った。
「あれ、顔赤いぞ?
もしかして熱あった?」
先生は腰を屈めたまま
私のおでこに触れた。
「ひゃあああっ!」
勢いよく後退りした私に
先生は吹き出して笑った。
「そんな反応すんなよー。
傷つくだろぉー?」
「あ、えと...そんな訳じゃ...
ごっ、ごめんなさい...」
戸惑う私を見て美鈴も笑った。
そういえば、
先生を好きになった時も
こんな感じだったかもしれない...