ちょこれーと。



高校1年生の冬。

私は一人学校に残って

マフラーを探していた。


どこにいったんだろう…。
お気に入りだったのにな…。



外はもう真っ暗だった。



教室を探していると

いきなり扉が開いた。


「きゃっ!」

驚いて声をあげてしまった。


「おぉ、悪い悪い。驚かせたか。」

そう言いながら教室へ足を入れた。


顔を見上げると、黒澤先生だった。


「涙目になってんじゃん!
 そんなに驚かせた?すまん!」

戸惑う先生が

年上に思えず可愛かった。


「んで、お前は何してるんだ?
 ラブレターでも入れたのかぁ?」

悪戯っぽく笑いながら言った。


「ち、違いますっ!
 そんな人いません、から...」

からかわれたことが

恥ずかしくて顔が熱くなった。


「ん?顔、赤くないか?」

そんな言葉とともに

スッと手がおでこに伸びてきた。


「ひゃっ!」

勢いよく後退りをすると、

後ろの壁に頭を打った。


「ったあ....っ」


それを見て先生は吹き出した。

「大丈夫かよ...プッ。」

笑いながら手を差し出した。



「わ、笑わないでください...」

私は戸惑いながらも手をとった。




「それで、お探し物はこれですか?」

そう言いながら差し出したのは

私が必死に探していたマフラー。


「朝、廊下に落ちてて、
 そしたら生徒がお前のかも、って。」


差し出されたマフラーを受け取った。


「あ、ありがとうございます...っ」

私はそのマフラーを抱きしめた。


「大事ならもう落とすなよー?」

眉を下げて笑いながら、

私の髪をくしゃっと撫でた。




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