アナログ三姉妹
扉の向こうからオルガンの音色が聞こえる。
「お兄ちゃん、ありがとう」
扉がゆっくり開く。
「今まで育ててくれて、ありがとう」
兄の腕を強く握った。
ずっとずっと、
握ってきた兄の腕を。
「バカだな。まだまだ育てないといけないだろ」
「…うん」
「お前は本当にバカだな…」
扉が開いた。
そこに、
その先に、
岸山が立っている。
「幸せになれよ」
「ありがとう」
二人は歩き出した。
それを笑顔で迎える面々。
あー、やっぱり泣いたか。
ひかりは笑った。
涙を拭いながら…。