アナログ三姉妹
兄は行ってしまうだろう。
分かっていた。
だから背中でしか話ができない。
「行ってらっしゃい‼」って、
笑顔で言いたいのに。
涙が止まらない。
涙が…。
「ひかり、一緒に泣くか?」
震えた声に思わず振り返ると、
もう兄は泣いていた。
「お兄ちゃん…」
堪えていたものが溢れだす。
「二人だけの秘密な」
「…うん」
兄の胸で声を上げて泣いた。
ああ、泣いてもいいんだ。
泣き顔を見られてもいいんだ。
お兄ちゃんだから、
カッコ悪いところも、
弱さも見せていいんだ。
私の、
お兄ちゃんだから…。