アナログ三姉妹
もう見えなくなった兄の背中。
二人の姉妹は互いに寄り添い、
支え合う。
と、その時。
「お兄ちゃん‼」
れいが叫んだ。
「お兄ちゃん‼ちゃんとご飯食べてよ‼水はミネラルウォーターだからね‼あんまり外食ばっかりすると太るから、ちゃんと自炊してよ‼私も、私も頑張って料理するから、あと、あと、お姉ちゃんは心配ないから‼」
「れいちゃん…」
「私、今日からお姉ちゃんと一緒に住むから‼」
「ちょっとれいちゃん」
「もう決めたから‼」
「でも岸山さんが…」
ひかりが気遣った先には、
涙でグッシャグシャの義弟が、
「いつものことですから」
優しい苦笑いを浮かべていた。
「みんないるから、安心して行ってきて‼」
「お兄ちゃん‼体に気をつけてよ‼」
妹たちは手を振り続けた。
ずっと振り続けた…。