アナログ三姉妹
言わなきゃ。
ちゃんと言わなゃ。
お兄ちゃんとお姉ちゃんに認めてもらわないと。
「あ、あのね私…」
「せっかくだから頂きましょうか?」
「そうだな。ザッハトルテに罪はない」
急遽、ザッハトルテが切り分けられることに。
まさか機嫌取りに買ってきた土産に、足を取られるとは…。
しかし、さすが老舗の人気商品。
その完璧な黒光りに、兄姉の頬も緩みっぱなし。
あとはそのチョコを口溶けしている間に言えばいい。
さぁ食べろ。
食べるのだ‼
「いただきまーす‼」
「いただきまーす‼」
妹が見守る中、二人は大きな口を開けて、ケーキを…。
ブチッ‼
「え?」
「へ?」
「は?」
辺りは闇に包まれた。