アナログ三姉妹
「おはよう」
「おはよう。れいちゃん、早く食べないと遅刻しちゃうわよ」
長女はお味噌をテーブルに置いた。
「あのー、一つよろしいですか?」
真顔で首を傾げるのは、その味噌汁を啜った長男。
「これ、異様に酸っぱいのですが?」
「ホントだー。豆腐が酸っぱい」
同意する末っ子。
「ビーフシチュー風お味噌汁よ」
なぜか胸を張る。
「いや、味噌汁は味噌汁でいいだろう?」
「んー、でも意外とイケるかも」
「お前は肉が入ってたらなんでもいいんだろ?」
「実亜ちゃんじゃないもん」
プーと頬を膨らませる。
あれから、
あの停電から一週間。
いつもと変わらない三姉妹の食卓。
だが…。
末っ子の結婚宣言は、
確実に三人の形を変えつつあった…。