アナログ三姉妹
「ただいまー」
「あれ早かったわね」
今日は何風の味噌汁にしようかと悩んでいた長女。
なかなか思いつかなかったので、
「れいちゃん、たまには夕飯作るの手伝ってよ」
「えー、疲れたしー」
「んー、私も仕事終わってから作るから疲れてるんだけどなー」
「でも、お姉ちゃんが作ったほうが絶対、美味しいもん」
末っ子が明るく言う。
前なら、
あの停電の前なら、
「またまたうまいこと言うわねー」
そう言ったのだろうが…。
「ねぇ、れいちゃん。家事ができないと、とても結婚なんて無理よ」
言ってしまった。
あの夜…。
「絶対に認めない‼」
あんなに怒った兄を、二人の妹は初めて見た。
そして末っ子の夢は[なかったこと]とされた。
それなのに、
パンドラの箱を開けてしまったのだ…。