【完結】君が教えてくれたコト


あの彼女らしき人はいない。


式のギリギリの時間になると教室の扉が開く。


入ってきたのはなかなかのイケメンとかなり可愛い女子だった。


だいぶ仲の良さそうな雰囲気。


イケメンに可愛い彼女は付き物ですよね。


イケメンの方は俺の後ろの席に着いた。


一応、クラス割りのプリントを見て名前を確認する。


槇野弘貴(マキノ ヒロキ)。


「なぁ」


後ろの席に着いたイケメンは俺の背中をトントンと叩いた。


「え?」

「苗字『穂高』っていうんだな?」

「うん?そうだけど」

「さっき、ちよ子(チヨコ)と…ちよ子ってさっき一緒にきた奴なんだけど、あいつと『穂高』って名前がカッコいいなって話してたんだよ!」


…普通に話し掛けてくれてる。

同じ年頃の人に他愛のない話をされるなんて何年ぶりだろう。


「穂高?」

「…よく言われる!完全に名前負けしてるけど」


本当によく言われた。

そしてよく「名前負けしてる」と、からかわれた。


「名前負け?何言ってんだよ!どこも名前負けなんてしてないし…そもそも俺は名前負けなんて言葉は嫌いだ。自分の名前がカッコいいなんて自慢するところだろ?なんで他人に非難されなきゃいけねぇのかわからない」


…俺、このイケメンにもっと早く出会いたかった。


< 20 / 187 >

この作品をシェア

pagetop