【完結】君が教えてくれたコト
しかし、俺は高野の胸から手を外した。
そして、高野のキャミソールを元に戻す。
「無理。こんな所で高野を抱くなんてもったいない」
「なにそれ…」
「下までなんてそんな短い時間で高野の事愛しきれるかよ!俺は高野とヤりたくて付き合ってないから…童貞だから自信ないとかじゃないからね?あーっと…その…高野の事大事過ぎてこんな所で出来ないって!」
高野は突然ギュッと抱き付いた。
「高野?」
「…ふうぅっ」
まさか…まさか…高野が泣いてる!?何で!?俺が泣かせたの!?
「高野!ごめん…俺、変な事言った?」
「…言った…ヒックッ」
「本当にごめんって…うわぁ…何が無神経だったかな…」
さっき言った言葉をよく思い返してみる。
「私の事…大事なんて…ヒックッ…言ってくれたの穂高だけだよ…」
「そんな…彼女の事大事じゃないわけないじゃん!」
「…今までの人…みんなそうだった…身体目的で、散々遊ばれて、大体の人が私の事本命じゃなくて…」
泣きながら話す高野を俺は抱き締めた。
「高野。大丈夫だよ…俺は高野の事本気だから。めちゃくちゃ大事にするから…今までの人の事なんて思い出せなくなるくらい大事にする」
そう言うと高野は黙って俺の腕の中で静かに泣いた。