愛すべき人へ…
点滴が終わって、病院を後にした。
もう日は暮れて、空には満天の星。
私を支えるように腰に手を回しホテルまでの道を歩いていく。
「紘、帰ったら病院行こうね?」
琥太郎が心配そうに覗き込んでくる。
……そうだね。
そろそろ…ちゃんと病院に行かなきゃね。
空で一番に輝く星を見つめて…静かに決心をした。
「うん。ちゃんと行くよ。。。」
そんな決心を気付かれないように…精一杯の笑顔で答えた。
やっぱり…最後の旅行になっちゃったね?
挙げれなかった結婚式。
着れなかったウエディングドレス。。。
でも、きっと良かったんだよね?
結婚式は一生に一度でいい。
琥太郎の結婚式は、私じゃない誰かと…
その時までとっておいてあげないとね?
私がそこまで…奪ったらいけないよね。。。