Lonely Specter
「昔はもっと『茉衣ちゃん茉衣ちゃん』ってかわいかったのに…」
茉衣はそうぼやきつつ深いため息を漏らす。
「そんなんじゃ私は落とせないぞ?幼なじみという絶好のポジションにありながら……」
なおもぼやき続ける茉衣。
それでもチラリと俺を見てやっぱりため息を漏らした。
「お年頃はめんどくさいねぇ…まぁいいわ。とにかく町に出ようよ、暇だし」
手に熱を感じた。
茉衣の手が俺の手を握っていた。
「おい…」
恥ずかしいだろ、と続ける前に 茉衣はニッコリ笑って。
嫌な予感がした。