アザレア
「六時前。まだ寝てろよ、顔色が悪い」
「いえ……っ、大丈夫です」
幾度体を重ねたとて、消える事ない気恥ずかしさ。
何も身に纏わぬが故、ベッドの中から出るに出られない私に反して、社長は着々と身なりを整える。
何時の間にか追いつけなくなった身長。
見慣れた服装がブレザーからスーツ姿に入れ変わり、幼かった頃からは想像できなかった低く重みのある声。
鋭さを増した瞳が横目で覗き見ていた私を捉え、
「大体メイが働く必要なんて――、」
昨日は私を優秀だと言っていたのに、何が不満だと言うのか。
案の定、もう常套句となってしまった台詞を口にし、
「社長は! 社長は、私を不要だとおっしゃるのですか……!?」
卑怯な私は声を荒げ、それを聞きたくない一心で遮る。
「いえ……っ、大丈夫です」
幾度体を重ねたとて、消える事ない気恥ずかしさ。
何も身に纏わぬが故、ベッドの中から出るに出られない私に反して、社長は着々と身なりを整える。
何時の間にか追いつけなくなった身長。
見慣れた服装がブレザーからスーツ姿に入れ変わり、幼かった頃からは想像できなかった低く重みのある声。
鋭さを増した瞳が横目で覗き見ていた私を捉え、
「大体メイが働く必要なんて――、」
昨日は私を優秀だと言っていたのに、何が不満だと言うのか。
案の定、もう常套句となってしまった台詞を口にし、
「社長は! 社長は、私を不要だとおっしゃるのですか……!?」
卑怯な私は声を荒げ、それを聞きたくない一心で遮る。