アザレア
だけど、端から見れば完璧にしか見えない社長にも欠如した部分はある。


私はそれを知っている、

「その呼び方止めろ」

決してディスプレイからは目を離す事無く、勤務時間内に公私混同を強(し)いるかと思えば、

「その呼び方、とは?」

すっとぼけた私の返答に溜め息を吐き、軽く舌打ちをして。


「だから“社長”って呼ぶな。……何度言えば判る?」

溜め息が出る程ムダに整った顔を歪ませ、「そのふざけた敬語もだ」と、無理難題を付け加える。
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