アザレア
覚悟していた。
いつかこの日が来る事を。

本当はもっと早く、そうするべきだった。


だから何度も離れようとした。

でも、その度に私は惑い、苦しむのは自分だと知りながら、それでも――苦しむのが自分だけならそれで良いと、その選択肢を選ぼうとはしなかった。

違う、選べる訳がなかった。
……離れられなかった。


ずるずると曖昧な関係を引き延ばした結果がこのざま。
周囲の視線が私を嘲笑っている気がする。


自業自得、自身で招いた状況。
力無くうなだれた私の頬を、熱い涙が幾筋も伝う。

空っぽになった胃は焼け付くように痛み、公の場――それも病院のロビーだと言うのに、人目もはばからず私の嗚咽は漏れ続けた。
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