アザレア
かつては私が彼を従える立場だった。

彼の父親が私の父の部下であるのを良い事に、命を下していた。


メイ、と呼ばせた事なんて一度たりともない。
いつも私を令嬢として扱わせていた。


――父が事業に失敗し、幼稚舎から通っていた附属大学の中退を余儀なくされる迄は。




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