LOVE・ラブ・らぶ-先生と描くsweet life-



「その時ぐらいから、何だか視線を感じるようになったの……。最初はトモヤさんだと思ってたんだけど、」


歩は鞄から例の写真を取り出す。


先生は見るなり、怪訝な顔をした。


「………さすがにこの写真が送られて来たら先生に相談しなきゃと思って、今日のデートをお願いしたの」


歩は少しだけ声を震わせた。


先生は何も言わないでぎゅっと歩の手を掴んだ。



「写真から香ってきた匂いがね、トモヤさんのから香ってきた匂いと違ってたの。あ、トモヤさんって合コンで絡んできた男の人の名前ね。


それと、トモヤさんが一緒に写り込んでる写真が一枚だけあって、撮られてる側ならトモヤさんは犯人じゃないんじゃないかなって思ったの」


さすがに今は匂いは消えていた。


「………で、俺に相談しようと思って、デートの約束をしてから乗り込んだ電車で」


歩は泣きそうな顔をして頷いた。

< 133 / 289 >

この作品をシェア

pagetop