LOVE・ラブ・らぶ-先生と描くsweet life-



「う~ん…………」


歩は先生の運転する車の中で、手持ち鏡相手に唸っていた。



手持ち鏡との睨み合いは結構前から始まっていたが、時間が経っても終わる兆しが見えない。



今日は12月31日、大晦日。


先生の実家に車で移動していた。



「歩、もうそれぐらいにしたら?」


堪えかねた先生が苦笑しながら言う。


「だって………。第一印象で失敗したくないもん。せっかく先生の御両親に会うのに………」


「大丈夫。可愛いって。」


先生の一言にドキッとした。



「それより、さすがに俺のこと先生って呼ぶのは今回は止めておかなきゃ。」



あ、そうか。


あたし、先生のこと先生って呼ぶのに定着しきってるんだ。



「うん、そうだね………功さん」



歩は恥ずかしくなって顔を赤らめた。


先生は名前呼びに満足したような顔をしているが、慣れないのか先生も恥ずかしそうに顔を赤らめた。




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