LOVE・ラブ・らぶ-先生と描くsweet life-
さっきまで賑やかだった部屋がテレビの音だけになった。
「なんか悪ぃな。毎年年越しはこんな感じなんだ。姉貴が先に潰れて、親父たちも寝て、結局、カウントダウンは一人。」
先生は笑う。
「ううん、楽しかった。施設にいた頃はみんなでお祝いしたけど、出てからは何もなかったもの。バイトもないから仕事で時間潰せないし、」
先生が歩の頭を優しく撫でた。
「これからはずっと一緒だよ」
と……。
歩の涙腺が崩壊寸前なところで、
「歩、今眠い?」
と聞いてきた。
「微妙かな。でもどうして?」
「連れて行きたいところがあるって言ったろ?」
「ああ。忘れてた」
「今から行くか。外出るから寒くない格好な」
と先生は指でクルリと車のキーを回した。