君雪
23才
夏。
俺は人魚姫を見つけた。
『何度言えば分かるんだ!!!!その髪とその化粧!!!!』
明日から夏休みだという日。
くそ暑い職員室で
怒鳴り散らす生徒指導。
ここが職場になって
3ヶ月半。
やっとこの仕事にも慣れてきた。
パソコンから
ふと顔を上げる。
終業式の日くらい
スプレーでも何でもして
黒髪にすればいぃのに。
何気なく見たその先で
生徒指導が怒鳴り散らす対象が
きらきら
きらきら
光って見えた。
窓から差し込む
太陽に照らされて
輝く金髪
夏だというのに
長袖のシャツに
真っ白な肌
少し低めの身長に
折れそうな程
細い細い体
[可愛い]というより
[キレイ]という顔に
濃いメイクが
よく似合っていた。
幼い頃思い描いた人魚姫は
清楚で大人しそうな女性だったのに
なぜか
この派手な女子高生を
[人魚姫だ]
と感じた。