君雪
その日
三年生の先生たちは会議
他の先生たちは部活やら補習やらで
職員室には俺一人だった。
―ガラガラ―
開く職員室の扉。
書類から顔を上げ
扉の方に目をやると
きらきら
きらきら
輝く
人魚姫。
『っ!!!!』
『‥‥あれぇ‥鮎川先生、高木先生知りません????』
俺の名前
知ってたんだ‥。
『高木先生は会議だよ。
どうした?』
正直、驚いてる。
突然人魚姫が現れた事にも
人魚姫が
俺の名前を知っていた事にも。
努めて
教師らしい声を出す。
『進路相談‥‥ていうか、高木先生が来いって‥』
困ったように言う。
『あぁ‥多分もう少ししたら戻ってこられるよ。』
『んー‥ありがとうございます。じゃぁまた来ます。』
『あぁ、そうだね。』
人魚姫が
出て行く。
あんな声で話すのか。
少しハスキーな声。