ストリング ~スマイル500円
「先におはようって言ってくれたのも、仕事じゃないのにここまで来てくれたのも」

なんだか恥ずかしくなる。

でも、そうしたくなった。

「私を待っていたの?」

聞きたかった一つ目。

「どうかな?そうかもね」

ちょっと意地悪げに笑う。

「本当にあのアパートに住んでいるの?」

二つ目を聞く。

「そうだよ。2階の奥。赤いドアの部屋。見える?」

「うん。ちょっと見える」

2階に3枚のドアが見え、奥の一つだけがペンキで塗ったように赤かった。

もっと聞くことがあったはずだ。

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