ストリング ~スマイル500円
「じゃあ、行こうか」

谷川君の車の助手席に乗り込んだ。

なんだかモヤモヤしていた。

なぜだか、2人を会わせたくなかった。

圭吾に谷川君を会わせたくなかったのか、谷川君を圭吾に会わせたくなかったのか、その両方なのか、分からない。


途中で4人と合流し、田中さんのワゴンタイプの車に6人全員が乗り込んで河原へと向かった。

車の中にはバーベキューセットや、大きなクーラーボックス、釣り道具、パラソル、水の入ったタンクなど、ぎっしり荷物が詰まっていた。

「ごめんね、狭くて。田中はアウトドアオタクなんだ」

柴田さんが笑って言う。

「悪かったね、オタクで。でも、バーベキューは任せて。おいしいもの沢山食べさせるから」

田中さんが自信満々に言う。

「楽しみだね」

沙織は本当に楽しそうだ。

「うん。楽しみ」

私は自分に言い聞かせるように言った。

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