モノトーン
通過点
苦手なお兄さんと目を合わせる事を避けながら、私たちはビリヤードにのめり込んだ。
お兄さんはいつもTVをみていた。見ているのか、見つめているのか分らなかったけど。
やる気のない、しおれた花みたい。
次第に気にならなくなったけど、相変わらず目を合わせる事は一切しなかった。
場代を支払う時でさえ。
嫌な時は友達や美月に任せて私1人でそそくさと店を出て、あとで払ってもらったお金を返す事もしょっちゅう。
あのお兄さんは嫌だけどお店に入る時と出る時だけ我慢すれば楽しくビリヤードができるんだから…
呪文の様に唱えていた。
でも通過点でしかなかったんだ。