死への救急搬送
いざとなるとこんなにも苦しいものだとわかりました。
命の尊厳と大切さが身に染みてわかります。
脳死は人の死なのだから臓器提供を申し込むのだ。
二人で決めていたじゃないか・・・
なのに言えない。
私が娘のように育て1歳4ヶ月で厳しい闘病の末に亡くなったマシュいう名の猫の写真に向かって話しかけます。
「マシュ・・・お母さん、どうしよう」
「お父さんは返事ができないのよ」
「申し込むことは完全な死を告げることになるんだ」
「苦しいよね」
「でも透析もしていないし数日の命なの・・・どうせ命が持たないのはわかっている」
「でもね・・・」
しばらく話をして
「苦しいけど先生に申し込みに行こうか」
「間に合わなくなって死んでしまうと約束を破ることになるからね」
「マシュ・・・ちゃんと天国へ連れて行ってやってね」
「道に迷わないようにね」
「頼むねマシュ」
「天国を案内して思いっきり遊んでね」
「マシュは頭が良かったし、頼むね」
「マシュ・・・」
私は決心して簡単な昼食を済ませると病院へ向かいました。
「家内の脳死臓器提供をお願いします」
先生に伝えました。