死への救急搬送
「N脳外科へ搬送しても処置できずに必ず転送になり処置が遅れてしまうので、ICUの設備がある総合病院でないとだめですと話すのを振り切って一方的に電話を切られ運ばれてしまいました」
「しつこくR病院とZ病院に主治医が居るので連絡してくれと言い、総合病院へ運んでくださいと伝えたのですよ」
「それを一方的に電話は切るしリダイヤルしても隊員は無視して出なかったのです」
「しかたがないので私は家内が死んでしまうと思い事故現場へ急いで向かい警察に救助要請をしました」
「警察官はすぐに了解して本部を通して家内を総合病院へ搬送するように連絡してくださりました」
「いったい、どのように思われますか」
私の前に座って聞いていた方から名刺を渡され
「脳出血のことが頭にあり透析患者のことが頭になかったのではないでしょうか」
「そんなバカな話がありますか」
「あれほど何回も説明してだめだと言ったのに考えられないでしょう」
「でも他に思い浮かぶ理由もありませんしね」
「隊員の透析患者に対する知識不足があったのじゃないですか」
「それと何故家内の病状を最もよく知っている配偶者の話を無視したのですか」
「それだけの権限が救急隊員に与えられているのですか」
名刺に救急担当長と書かれている管理職の方は笑みを浮かべながら
「まぁ頭の疾患のことばかりに気をとられたのでしょうな」
人が死んでいるというのに笑みを浮かべるとは・・・
「あなた方はそれでプロだといえるのですか」