死への救急搬送
「だったらどうしろと言うのですか」
課長は知らぬ顔で「ふん」といった表情で答えません。
それまで普通に記入していたのに自分たちに不利な発言が出た途端に「書いてください」は強要になると言って書かそうとしません。
私は困りました。
せっかく矛盾する発言をしたのに書かそうとしません。
そのうえ以前担当長がN脳外科が受け入れてくれなければ高速を利用して高松方面へ搬送するつもりだったと隊員から聞いていたと話したこととも矛盾します。
まったく矛盾だらけの発言でしたが書かせません。
しかたなく私はペンを動かさない隊員に話しました。
「どうして強要になるのかわかりませんが、あなたの搬送しようとした順番を記入くださればいいです」
「記入したくなければ記入しなくていいです。好きなようにお任せします」
隊員は少し考えていましたが、一度言っておいて知らぬふりもできず簡素に書きました。