死への救急搬送
「記入する必要なし」
課長がまたまた強い調子で言います。
「何故ですか。私の問いかけにご記入くださいと言っただけじゃないですか」
「ご記入くださいも強要です」
「問いかけただけじゃないですか」
「そのようにばかり言っていると回答が空白ばかりになりますよ」
「救急隊にとって空白ばかりの回答は不利になりませんか」
「空白でよろしい」
「それでいいのですか」
「それに何も口を挟まない約束だったじゃないですか」
「だったらもう止めませんか」
「止めて帰ったらいいです」
「出ていきましょう」
課長は立ち上がり出口へ向かおうとします。