死への救急搬送


家内が家内の主治医に私と結婚することを伝えると主治医は私に話を聞きに来るように家内を通じて言ってきました。

私は主治医に会い家内の病状を説明されました。

説明では家内の病状は良くなくて慢性糸球体腎炎の状態が10年は持たずに腎不全に移行するでしょうと告げられました。

腎不全後は血液透析治療になりますし、当時の血液透析治療は予後が芳しくなくて命が長く持っても10年ほどです。

つまり主治医は家内の命が限られた命であり、長くても40歳半ばまでが限度だと言いたかったのだと思います。





主治医が最後に私に言ったのは

「結婚するのなら、それを承知しておいてください」

と私への最後通告のような言葉でした。






私は十分に理解して、たとえ限られた命であろうと先へ伸ばそうと努力するつもりで先生に返答しました。


「わかりました。説明してくださりありがとうございました」


私が25歳で家内が27歳の初夏にはまだ少し早い季節でした。
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