死への救急搬送


電話はM市救急隊からでした。

時間を見ると正午を少し過ぎていました。

私は急いで出ようとしているのにと思いながら電話にでると


「桜坂千恵子さんのご主人ですか」


「そうです」


「奥さんに脳疾患の疑いがありこれよりN脳外科へ搬送しますが宜しいでしょうか」


「だめです。家内は透析患者であり総合病院でないと処置できません。総合病院へ搬送してください」


「R病院とKI脳外科へ連絡しましたが断られました。N脳外科が受け入れてくれると返事があったので搬送します」


「だめです。単立の脳外科では処置できないので結局転送になります」

「今までの経験では疾患の処置と透析と輸血が同時に行えないと助かりませんでした」

「頼みますから総合病院へ搬送してください」


「現在すでにN脳外科へもう向かっています」


「中止してください。家内は腎移植もしているのでR病院と現在はZ病院にも主治医が居ますから連絡をとってください」


「R病院には断られました」

「だから主治医の東先生に連絡してくださいといっているのです。どうにかしていただける可能性があります」

「それが無理だというならZ病院の横川先生に連絡をとってみてください」
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