死への救急搬送
返事を終えると麻酔科の先生が薬の種類を知りたいと言ってきましたので、私は岩畑先生に連絡がとれないか聞きました。
すると私の背中を誰かが叩きます。
岩畑先生でした。
しかも私服でした。
休みだったのか、それとも診察を終えて帰路についていたのでしょうか。
とにかく連絡があり急ぎ駆けつけてくださったのだと思いとても感謝しました。
私は家内の服用している薬の概要は知っていますが、R病院で処方が変更されてからは細かい種類までわかりませんでした。
とにかく薬代だけでも数十万円必要なほど種類も量も多かったのです。
岩畑先生が来てくださり助かりました。
私が手術に必要な説明を麻酔科の先生から受け書類に次々と署名している間、父親たちは家内に話しかけていますが無反応でした。
私は脳外科の松平先生からも署名を次々と書かされ、看護師さんからも説明を受けます。
その間も家内を見ますが微動だにしません。
「手術室へ移動します」
声がかかりました。
そのとき周囲を見ましたが今まで話をしていた先生方はすべて手術室へ移動したようで誰も居ませんでした。
あっという間に時が流れていきました。