死への救急搬送
「長時間かかると思いますし、もう帰ってもいいですよ」
「手術が終われば連絡しますから」
私は手術が終わるのを待っている義父や叔母さんに言いました。
心配でお待ちしてくださるのはありがたいのですが、今までの経験からかなりな時間が必要になり待っているのも疲れると思ったからです。
でも帰る人は居ません。
私は交代で食事をしてきてくださいと告げ娘に連絡をするために待合室を出ました。
娘には母さんが手術室に入ったことのみを伝え危篤状態であることは伝えません。
伝えられなかった。
娘は新幹線に乗車中で病院へ到着するのが午後11時くらいになるとの返事でした。
最初は待合室で多くの人が待っていましたが、手術を終え徐々に減っていき最終的に残ったのは私達だけです。
時間は過ぎていきます・・・
そして午後10時過ぎ待合室のドアを看護師さんが開けて
「桜坂さん」
名前を呼ばれました。