soraharuka ~もしも私の声が届くなら~
開放された窓からは、穏やかな風が吹いていた。
『大人になるとは、どういうことだろう…』、ねぇ?
そんなことオレに分かるわけがない。
読んでいた本を、パタンと閉じて、外に目を向ける。
そこには、ベンチと何も咲いていない花壇。
それと、中途半端な大きさの木がぽつんぽつんと立っているだけ。
ここからの景色は本当に寂しい。
遠くを見渡しても目を引くような物は何もないし、あのくたびれたベンチに人が座ってるのも見たことがない。
けれど、そんな景色も嫌いじゃなかった。
なぜなら、ここからでも、晴れた日の空はとても青く、澄み渡って見えるからだ。