You and I
次に目覚めたのは
もう夕焼けが照らす放課後で
樹里が膨れっ面で僕を見つめていた。
「なぁたん、寝過ぎー。」
「わりぃ…。」
頭をボリボリと乱暴にかき上げて
まだ虚ろな意識の中
顔を上げる。
「なぁたん、早く、帰ろうよー。」
子供のように駄々をこねる樹里に急かされて
「はいはい。」
僕は仕方なく、帰り支度を始めた。
窓の外から
野球部の掛け声が聞こえて
夕焼けが僕と樹里をオレンジに染めてゆく。
僕はこの放課後の夕焼けが一番、好きかもしれない。
橙に色付く教室に
樹里の笑い声が響いて。
僕の安らぎは
この、放課後の教室にあると思う。
天使が
オレンジに染まる
この、時間が。